ひやひやの初ドライブの思い出
車の免許を取ったばかりの大学4年生の夏休みに、初めてわたしの運転でドライブに行った時のことです。運転席にわたし、助手席にドライバー歴の長い父、後部座席に母と姉を座らせて近所のショッピングモールまでドライブに出かけました。
「ちゃんと左右を確認しろよ。スピードを出しすぎるのもダメだし、のろすぎるのも他のドライバーに迷惑がかかるからな」と父が何度も言うので、それだけで緊張してしまいました。ちゃんと試験に受かったのだし、教習所でも路上でもちゃんと運転できていたのだから大丈夫だと自分に言い聞かせながらもやはりいざともなると不安でいっぱいでした。家の駐車場を注意深くあたりを見回しながら出発し、道路に出てしばらくはまっすぐの道のりなので緊張しながらも楽しみながら運転していたとき、後部座席で姉が「気をつけて運転を続けてよ。これで事故になったら一家全員死ぬんだから」と半分冗談のつもりで言った言葉が妙に頭を離れず、そうだわたしは今、家族全員の命を乗せているのだと大げさに考えてしまい、きゅうにぴりぴりしてきてしまいました。
免許を取る前はドライブするときは好きな音楽をかけて乗りたいなと思っていたのですが、音楽なんて気が散りそうな感じがしてとても流すことができず、外の音にも注意を向けながら運転するので精一杯
でした。
わたしがスーパーまでの道で一番嫌だと思っていた交差点にさしかかるとき緊張はピークに達しました。
父が「人が通り過ぎてから曲がればいいんだ」と教えてくれましたが待てども待てども人がぱらぱらと距離をあけて次々に通過するのでなかなか曲がるタイミングがつかめず、人が途絶えていけるかと思ったときに遠くの方で子供連れの女の人がゆっくりゆっくり歩き出すのが見えたので曲がるのをためらってしまいました。
「今行けばよかったのに」と姉が言って、わたしもどう考えてもわたしが
先に曲がる方が正しかったと思うけれど、あの子供連れの女の人がもし突然走り出したらなどと考えてしまい結局曲がれませんでした。
バックミラーで後ろを見ると、怖そうなおじさんが明らかにわたしがのろのろと曲がれずにいることで起こっているプチ渋滞にイライラしている様子でした。
そのとき父が「焦らなくていい。あの女の人が行ったら行けるから」と言ってくれて、父の「今だ、曲がれ」という声を合図に曲がることが
でき、やっとスーパーにたどり着きました。たった5分くらいの道のりなのにものすごく遠く感じてこんなことなら歩いた方がいいかも
とさえ思ってしまいました。
駐車場でバックする気力がなかったわたしは頭から突っ込んで駐車して
しまい、「帰りはお父さん運転して」と言って初のドライブを終えました。帰り道、スムーズに駐車場を出て、あっという間に家まで送り届けてくれた父を見て、今まであんまりなかった父への尊敬の気持ちがその瞬間にものすごく芽生えたのは言うまでもありません。